テクニカル分析というのは投資・トレードをする人ならだれでも大なり小なりしていると思うのですが、まずは、概論的に説明したいと思いこの記事を書きました。
各項目の詳細な解説については別の機会に行います。
- テクニカル分析は需給を読むもの
- テクニカル分析には多様性がある
- 何でも使えばいいというわけではなく根拠と優先順位が必要
- 理論もなしに使うと振り回されるだけ
テクニカル分析の考え方の基本を知ろう
まず、テクニカル分析とは投資やトレードにおける分析の中でどのような位置づけになるのか?という点について解説します。
テクニカル分析とは
テクニカル分析とは、需要と供給の関係で値動きを分析していく手法です。需要と供給とは何か?という点については後述します。
一方、ファンダメンタルズ分析とはその商品の本質的な価値を見極めようとする分析です。
しかし、現在は、情報化社会ならではのいろいろな情報分析ツールがありますので、単純にテクニカルかファンダメンタルズかという分析で二元論で考えるのは難しいと思います。
さらっと例をあげると、
- リアルタイムな市場間の相関性をはかる分析
- SNSなどから得られるセンチメントをはかる分析
- 公表された先物のポジション状況などから需給をはかる分析
- 最新ニュースの影響をはかる分析
などです。
また、テクニカル分析にしても、
- インジケーターを使った分析(の中にもいろいろある)
- ラインを使った分析
- チャートパターンを使った分析
- オーダーフローを使った分析
など多様性があります。
とはいえ、ひとついえることは、最近はリアルタイム情報がどんどん手に入るようになってきているので、それをどう解釈して市場と向かいあっていくかということは非常に重要です。
ランダムウォークを持ち出してテクニカル分析は怪しいから使わないといった考え、経済指標や決算書類しかみないような投資法を否定はしませんが、タイミングに関してはブレブレになる可能性が高いです。
ただし、テクニカル分析にしても、なんでもいいからいっぱい使えばいいというわけではなく、十分に根拠と優先順位のある方法をとらないと逆にふりまわされることになります。
値動きの基本的な仕組み
テクニカルを理解するには、値動きがどのように発生しているのかを理解する必要があります。
わかりやすいので日経225ミニ先物の板の画面を見てみましょう。

株でも先物でも為替でも基本はオークション方式という方法で値動きが発生します。(※為替の場合は、取引所がないため、少し特殊ではありますが。)
オークション方式では、現在値より高いところに売指値をいれるか、現在値より低いところに買指値をいれるかすると、上記のような板に売数量、買数量として注文が載ります。この行為をする人をmakerといいます。板上に注文をつくるからmakerです。
一方乗っかっている注文と相殺するよう成行で注文を出して売買する人をtakerといいます。板に出された注文を取るからtakerです。
指値注文はmaker 成り行き注文はtakerとなり市場では別の役割をしているのです。
ではどのように値動きが起こるかというと、makerが板に上げた注文をtakerがとっていくことで動きます。
例えば、売板(売数量のところ)に出ている注文をどんどんtakeしていくと、その価格帯の売数量がゼロになりますので、ひとつ上の価格帯に進むことで値上がりします。値下がりは逆の動きで起きます。
なお、FXやCFDでは直接取引所に注文をつなげず、店頭取引となりますので、証券会社が常にmaker 客がtakerになります。指値をいれたとしても、その価格になったらtakeしているだけなので取引所での指値とは意味が違います。
でも、その先の取引所なり銀行間取引では、上記のような原理が働いていることをイメージしましょう。
需要と供給とは
需要と供給とは、この指値=供給、成行=需要として考えたときの関係のことをいいます。需要が勝れば一方に動きますが、供給が勝ればその方向には動きません。そして、反対側への需要が高ければ反対側に動きます。
どちらの方向にも需要が低ければ値動きは起こりませんし、どちらの方向へも需要が高ければ値動きの激しい二極化相場となります。
では、このような需要と供給は何で決まるのでしょうか?
主に4つの要素に整理できると思います。
- 織り込まれていない材料
- 先高感、先安観
- 既存ポジション
- 心理的な同調
織り込まれていない材料
一番わかりやすいのはこのパターンだと思います。小さなニュースなどはすぐに織り込まれてしまいますが、例えばFRBが利下げをしたときなどは、その解釈も含めて織り込みに時間がかかることになり、一定時間をかけて値動きに影響してきます。つまりは、需要が継続的に生まれやすいということです。
先高感、先安観
値動きは材料でだけ動くのではなく、上がりそうだから買う、下がりそうだから売るといった心理でも起こることがあります。トレンドというのはまさにその心理により起こるものです。必ずしも合理的な裏付けがなくともこの心理だけで値動きが一定期間続きます。つまりは、この場合も需要が継続的に生まれやすいということです。ボラティリティといった概念とも関係している要素です。
既存ポジション
上の二つはわかりやすいと思うのですが、既存ポジションが需要と供給にどのような影響を与えるかというのは、一般にはわかりづらいです。でも知ることは非常に重要です。
例えば、あるポイントでは、既存ポジションをもった投資家がそのポジションを手放したいという欲求が強まることがあります。

上記のようなチャートがあるとして、最初に天井圏をつけたときに、まだ上に行くと思っていた投資家が□の中で大量の買いポジをつくったとします。しかし、上に行くことはなく一旦下落、それがまた先ほどの水準まで上がってきたら含み損を抱えていた既存買い手はどう行動するでしょうか?ポジションを解消したくなりますね。
上記は一例であって、実際は様々な形で既存ポジションが需給に影響を与えます。
心理的な同調
移動平均線や、トレンドライン、チャートパターンなどはプロのトレーダーであってもあたりまえのように見ています。その中でも数日、数週間にわたって続くライン、メジャーな移動平均線、わかりやすいチャートパターンなどはトレーダーの同調を生み、需給に影響してくることがあります。
テクニカル分析とは需給を可視化したもの
テクニカル分析とは結局、需要と供給を可視化したものであるといえます。
大事なことは、どのような原理に基づいたものであるかという根拠を、はっきりさせたうえで使っていくことです。
むやみに派手なテクニカルインジケーターを使えばいいわけではありません。
ラインをひいたりシンプルなインジケーターを基調にして、数的な厳密性よりも本当に重要な点は何なのかという根拠と優先順位をつけて使っていくことが重要です。
コメント