S&P500連動のETF/投資信託を徹底比較。実はコストよりもパフォーマンス差のほうが大きかった?

中長期トレード

この記事では、投資先としてETFや投資信託に興味をもった人にS&P500関連の銘柄を解説したり、すでにS&P500に興味をもっているが詳細について知りたいという人にたいして有益な情報を提供しています。
本記事と同様のテーマを扱ったサイトは数多くありますが、当サイトならではの切り口での情報や意見も追加してありますので、最後までお読みいただけると幸いです。

  1. S&P500の投資先としての有望性を知る
  2. ETFと投資信託の違いを知る
  3. 各銘柄ごとのコストの違いを知る
  4. パフォーマンスにも違いがあることを知る
  5. 使える制度や証券会社について知る

S&P500連動のETF/投資信託を徹底比較

S&P500とは、世界一の株式市場である米国株式市場の最も代表的な株価指数のことです。

S&P500に投資するということの優位性

他の資産クラスではなくS&P500を選ぶことにどのような優位性があるのかを説明しています。

長期パフォーマンス

まず、S&P500が1957年からどれくらい上がり続けているのかをあらためて見てみましょう。

S&P500の1957年からの推移のチャートです。いくつかの波がありながら上がり続けています。

さらにどれくらいのペースであがっているのかをみるためにログスケールでみてみます。

ログスケールで見た1957年からのS&P500の推移のチャートです。いくつかの波がありますが安定して上がり続けています。

こうみるとITバブル崩壊やリーマンショックなどところどころで落ち込みがありますが、長期でみると上がり続けていることがわかります。そのためETFや投資信託の投資先として注目され続けており、最近特に人気が高まっています。

ポートフォリオ効果によりリスク回避

S&P500に投資するということは、すなわち自動的に米国株の中でも優位性のある500銘柄に分散投資することと同じことです。これをポートフォリオ効果と呼びリスクの軽減の基本的手法としてファイナンス理論では知られています。
要は、少数またはひとつの銘柄に集中投資するとその銘柄の突然の経営不振や不祥事などによって株価が下落するリスクがありますが、500銘柄に分散することによってそのようなリスクは限りなく無視できるということです。

ETFとは?投資信託との違いは?

ETFと投資信託は似ているものですがどのような違いがあるのかを説明しています。

制度上の違い(市場を通すか通さないか)

ETF:取引所で個別株のように売買される投資信託。国内上場のものであれば国内証券口座、米国上場のものであれば米国株証券口座で取引します。

投資信託:直接運用者と売買、または、銀行や証券会社のような媒介者を通じて売買するものです。

運用タイプの違い

昔は投資信託といえばアクティブファンド(運用者の目利きで積極的に個別銘柄を選定して投資する)で手数料が高い、ETFはパッシブファンド(指数連動)で手数料が安い、という住み分けをしていたのですが、最近は投資信託でもパッシブで手数料も安いものがでてきたので、最安クラスのもの同士で比べれば大きな違いはなくなっています。

基準額か市場価格か

投資信託はその日の基準額で取引されます。 ETFは株式市場での市場価格で取引されます。
S&P500の投資信託、ETFというのは、S&P500に投資するといっても、S&P500という銘柄は存在しませんので、運用会社が、指数を構成する個別銘柄に投資していくわけですが、そのすべてに指数と全く同じ比率で投資するのは、実務上では困難なので、あくまでS&P500指数と同じような動きを目指しているにすぎません。その運用パフォーマンス次第で投資信託、ETFの日々の保有財産がきまってきます。
投資信託の基準額は、その保有財産を口数で割ったものです。
一方、ETFはそれ自体が市場で取引されるため需要と供給による 市場価格が形成されます。つまりは、原資産とETF価格が二重に市場にさらされているということになります。通常、市場価格は基準額とそう離れたものとはなりませんが、流動性の低いETFだと相場の急変時には差が広がる可能性があります。

再投資と配当課税

ETFは分配金が都度で支払われるので課税対象ですが、投資信託の場合は受け取らずに再投資することで分配金の課税を先送りできる利点があります。
そのため積み立ての観点から、つみたてNISAやIDECOといった非課税口座では基本的にETFではなく投資信託が対象です。
つみたてではないNISAではETFも扱えます。

ETFの仕組みを知る ~ パフォーマンスにも影響?

投資信託は、運用会社やその下請けのファンドが直接金融市場とやりとりするもので仕組みがわかりやすいです。
一方でETFの仕組みというのは少しわかりづらいので調べてみました。

ETFの運用には現物拠出型ETFリンク債型ETFというものがありますが、S&P500のETFは現物拠出型ETFです。

(※この章は記事後半のETFのパフォーマンス差を確認してから見直したほうが良いかもしれません。)

現物拠出型ETF

運用会社は参加企業にETFを発行し、構成銘柄の株式の拠出を受ける。
参加企業がETFを市場に売却することで市場に新たなETFが供給される。

現物拠出型ETFの仕組みは概ね上記図の通りです。株式バスケットとは、S&P500で言えば構成する500銘柄のひとまとめ、ユニットです。参加企業が市場から銘柄を集めてユニットとして、運用会社に拠出してETFの発行を受け、それを市場に流していく形です。
運用会社はETFを発行するだけの手数料商売です。リスクをとって売買差益を狙うのは参加企業です。

なぜ各社でパフォーマンス差がうまれるのか?

この方式だと運用会社は常に市場価格と乖離なく拠出を受けられるので指数と基準額のパフォーマンスに乖離が生じないはずですが、実際は各社でわずかな差が生まれています。これをトラッキングエラーといいます。
原因はいくつか考えられますが、そのひとつとして、S&P500を構成する500銘柄の中で比較的流動性の低い銘柄を参加企業が市場から取得するのが難しいことがあると疑われます。これについて、SPYの有価証券報告書には以下のように書かれています。

クリエイション・ユニットの設定時に、本件受託者が、1または複数の指数構成証券が入手不能または数量不足であると判断する場合、本件受託者は、これら1または複数の指数構成証券の現金等価額が、それに代わり、現金部分の一部としてポートフォリオ預託に含まれることを容認することができます。

SPDR® S&P 500® ETF (SPY US · 1557 JP)  有価証券報告書

取得できなかった銘柄に代えて現金をあてるとその分は将来の資産の増減に影響しないので、一定期間後にパフォーマンスとして違いがでてくる原因となります。
人気があり需要の大きなETFほど銘柄を用意できずにこの影響を受ける可能性があります。

また、上記以外にも、そもそもの各ETFの組成比率というのは指数と完全に一致しているわけではないことも影響しています。組成比率次第では指数をアウトパフォームする可能性もあります。

ETF、投資信託にかかるコストは?

売買手数料

投資信託やETFには、通常、売買の手数料がかかります。
しかし、最近はS&P500連動の投資信託、ETFは手数料無料となってきていますので気にしないでも良いです。
後の章でも説明しています。

信託報酬

これもコストなのですが、投資家が売買とは別に支払うべきものではありません。投資信託なりETFの財産から日々ひかれていくものです。理屈上は、運用にて完璧にS&P500をトレースできたとしたら信託報酬の分だけS&P500をアンダーパフォームするはずです。

海外ETF

海外ETFの特徴を説明しています。

資産総額とコスト

海外ETFは米国株口座をつくって米ドルに両替してから取引する形です。基本的には下記の3種類だけ知っておけば十分です。

銘柄コード名称信託報酬資産総額
SPYSPDR S&P 500ETF0.0945%3100億ドル
VOOバンガードS&P 500ETF0.0300%1300億ドル
IVViシェアーズ・コアS&P500ETF0.0400%2000億ドル

資産総額が信用とみればSPYが一番ですが、それでも他の二つも十分な資産額です。よってユーザーとしては一番信託報酬の低いVOOが第一候補に挙げたいです。ですが、信託報酬だけで決めて本当に良いのでしょうか?

パフォーマンス

実際のパフォーマンスを比較してみることにしました。
SPX(S&P500)と3つのETFを比較してみました。 VOOが2010年に開始しているのでそこを基準としています。

SPXとVOO,IVV,SPYのパフォーマンスを比較したチャートです。

ほとんど線が一致していて変わりないことがわかります。ですが、パフォーマンスのところをズームアップしてみてましょう。

SPX,VOO,IVV,SPYのパフォーマンスの差がよくわかるように拡大しています。

2020年の1月31日の市場終了時点でVOOがSPXを上回っています。そしてVOOとSPYの10年足らずでの成績差は1.42%となっています。
1.42%か。誤差だな。とか思ったあなた。
信託報酬の差はSPYとVOOで0.0645%です。10年で0.645%です。
実は、信託報酬差をうわまわるパフォーマンス差となっています。
パフォーマンスに差がついた理由については、コスト差による分とETFの仕組み上の差によるところです。ETFの仕組みについては、前述しました。
不思議なのは、VOOが信託報酬分のマイナス圧力があるはずなのにSPXをうわまわっていることです。組成比率の細かい違いが関係している可能性があります。
上記検証はあくまで私の環境でのtradingviewでの比較の結果であり市場価格を基にしていますので基準価格で見た場合は違う結果となる可能性があります。

米ドルへの為替コスト

海外ETFの難点として米ドルに両替してからでないとトレードできない点があります。単純に面倒くさいのもあるし、為替コストがかかります。しかし、SBI証券では、FXや外貨預金を経由することで為替コストをかなり小さく抑えることができます。

SBI証券 FXからの現引き
SBI証券 外貨入出金

取扱証券会社

楽天証券で手数料無料で取引が可能です。
SBI証券とマネックス証券ではキャッシュバックにより実質手数料無料です。

国内ETF

国内ETFの特徴を説明しています。

資産総額とコスト

銘柄コード名称信託報酬資産総額
1547上場インデックスファンド米国株式0.150%90億円
1557SPDR S&P500 ETF0.095%1300億ドル
1655iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF0.150%65億円
2521上場インデックスファンド米国株式 為替ヘッジ有0.150%100億円
※税抜き

1557だけが圧倒的な資産総額となっています。桁が違いすぎるのであえて円に換算しませんでした。信託報酬でも圧倒的に1557が優位です。他のETFを購入するメリットはあるんでしょうか? 

パフォーマンス

念のためパフォーマンスを比較してみました。
まず、2011年3月ごろからデータがある1547と1557を比較してみました。
なお、1655は2017年からしかデータがないのと2521は為替ヘッジつきで条件が異なるので省略します。

1547と1557のパフォーマンスを比較したチャートです。

少し差があるのがわかります。ズームアップしてみてます。

1547と1557のパフォーマンス差がわかるように拡大しています。

1547が1557を9.05%上回りました。信託報酬差が0.055%ですから、9年だとして0.495%です。
ということでパフォーマンス差で圧倒的に信託報酬差を逆転してしまいました。
差が何故出たのかは前述したETFの仕組みの章をご覧ください。
なお、これほどの差とはいえ、資産総額の差は圧倒的で流動性も全然違いますから急変時のリスクを回避したい人は1557を選ぶほうが良いと思います。

取扱証券会社

auカブコム証券、楽天証券で手数料無料で取引が可能です。
SBI証券でもキャッシュバックにより実質手数料無料です。

投資信託

投資信託の特徴を説明しています。

資産総額とコスト

名称信託報酬資産総額
eMAXIS Slim 米国株式S&P5000.088%527億円
iFRee S&P500 インデックス0.225%102億円
SBI バンガード S&P500 インデックス0.085%148億円
農林中金つみたてNISA米国株式 S&P500 0.450%26億円
米国株式インデックス・ファンド0.450%20億円
※税抜き
※SBIについては実質負担

SBIバンガードについては、投資信託がVOOに投資するという特殊な構成ですので、VOOに払う分もあわせた実質負担です。
信託報酬だけみるとeMAXISとSBIバンガードが似たようなコストでSPYとはりあえるレベルです。

パフォーマンス

eMAXISは2018年からなので歴史が浅くてパフォーマンスは未知ですが、運用報告書によると2018年7月3日~2019年4月25日の運用にてベンチマークのS&P500が10.3%に対して投資信託が10.4%(両者配当再投資)と概ね良好な成績となっています。
SBIバンガードは2019年に設定されたばかりですが、パフォーマンスはVOOから信託報酬の差分を引いたぐらいになるはずです。しかし、投資信託は分配金を再投資して課税を先延ばしにできます。VOOの公式ホームページによると分配金は、ざっくり年間2%ぐらいですがその20%の0.4%の課税を先送りにして再投資ができるため、長期でみると差がつまるかもしれません。とはいえ順調に値上がりしなければ、複利を生かすことができず、単純にコスト分不利になる可能性もあります。

非課税口座対応と取扱証券会社

積み立てNISAでは上記すべての投資信託を取引できます。
IDECOは、SBI証券やマネックス証券にてeMAXISを取引できます。
残念ながらSBIバンガードはIDECOに対応していないようです。そしてSBI証券でのみ取引できます。
SBIバンガードもeMAXISも手数料無料です。

まとめ

私見ですが、

積み立てNISA  ⇒  SBIバンガードかeMAXIS
IDECO  ⇒  eMAXIS
非課税口座以外  ⇒  投信ならSBIバンガードかeMAXIS、 ETFならVOO 
国内ETFがいい⇒安心感なら1557が第一候補だがパフォーマンス的に1547を選ぶ手もあり


といった結論が出ました。

上記でも報告しましたが、コストだけで比較しても、S&P500自体のパフォーマンスとトレースする運用会社のパフォーマンス次第で覆される可能性が高いため意味がないと思います。
あまりに指数から離れている場合、いわば、トラッキングエラーが大きいときは、パッシブ運用の体をなしていないことになりますが、指数を上回るパフォーマンスを出しているのであれば、まずは好意的にとらえてもよいのではないでしょうか。最大手のSPYがパフォーマンスが若干悪い点については一考の余地があります。
投資信託の成績についてはまだまだこれからではありますが、eMAXISやSBIバンガードであれば、大きな乖離が出ずに運用される可能性のほうが高いです。
最後に、よく考えてほしいことは、まず最初の選択として、他の資産クラスではなく、S&P500を選んだということが一番重要なのであって、その中で細かい条件の違いにあまりに神経質にならないほうがよいです。

この記事を執筆するにあたって参照したサイト一覧

記事内にリンクをはられていないものを中心にまとめています。

楽天証券:海外ETF
楽天証券:0円ETF一覧
楽天証券:IDECO銘柄
SBI証券:海外ETF実質無料
SBI証券:国内ETF実質無料
SBI証券:IDECO銘柄
マネックス証券:海外ETF実質無料
マネックス証券:IDECO銘柄
auカブコム:フリーETF
金融庁:積み立てNISAの対象商品
投資信託協会



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